イチゴの定植前に高濃度炭酸ガス処理を施すのですが、ほとんどの農家さんは9月中旬から下旬に行います。年によってはオイルヒーターを入れて加温することもありました。しかし、今年はオイルヒーターもいらないくらい装置内が暑く、むしろ30℃以上、もしかしたら35℃くらいになっていたかもしれません。
袋の中のかなり温度が高いが、イチゴの苗は大丈夫なのか?
このように心配される農家さんは今年は多かったです。
通常の高濃度炭酸ガス処理で古い葉に障害がでることはありますし、植物にとっても高温はかなりのストレスです。
先に結論から言わせていただくと、35℃のような高温でもイチゴ苗にはほとんど影響はありません。
と言いますと、35℃条件下での炭酸ガス処理について研究されており、実際に圃場に定植して効果を確認しています。小山田・村井(2013)によると30℃および35℃で処理時間12時間および24時間処理したところ、処理後の障害は見られず、定植後の開花に対する影響は認められなかったと報告しています。また、同時に炭酸ガス濃度60%条件で30℃および35℃条件ではハダニの卵および成虫を16時間で防除できると報告しています。
植物において炭酸ガスに曝されている時間が短いほど、影響は少ないです。むしろ高温条件の方が短時間で苗に影響も少なく処理できるのです。